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帝国ホテル杉本総料理長と漁師との座談会開催〜「持続可能な水産資源と食」をテーマにした座談会を初開催〜(前編)

2025.09.09
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おいしかわ県PR協議会は、9月1日・2日、石川県産水産物の魅力を広く発信するため、底びき網漁の解禁にあわせて、石川県の漁業者と帝国ホテル第3代総料理長・杉本雄氏との交流会を実施しました。

開催にいたった経緯

2024 年に発生した能登半島地震および豪雨災害により、石川県の漁業は大きな打撃を受けました。全ての地区で漁を行えるようになったのが 2024 年11 月と、まさに未曾有の事態でした。しかし、そのような厳しい状況の中でも、石川県では加能ガニの最高級ブランド「輝」や、天然能登寒ぶりの最高級ブランド「煌」など、地元水産物のブランド化や PR を継続して行ってきました。さらに、将来の水産資源を守るため、あえて漁獲量を抑えるなど資源保護にも取り組み、県全体として「一過性の復興」ではなく、持続可能な漁業の発展に向けた歩みを続けています。

一方、帝国ホテル第 3 代総料理長・杉本雄氏は、料理人として生産者との交流と支援に力を注ぎ続けてきました。2024 年11 月および 2025 年1 月には石川県を訪れ、生産者との対話や漁船への乗船などを通じて、水産業の課題や生産現場の想いに触れました。さらに、2025 年2 月 25 日・26 日には、生産者の思いに共感し、石川県産の食材をテーマにしたディナーイベント「サンセリテ」を帝国ホテル 東京 鉄板焼「嘉門」にて開催し、料理を通じて石川県産の食材の魅力を発信しました。

こうした経験を通じて、「もっと食材を作り出している人に光を当てたい」「地域の食の魅力をもっと広く伝えたい」という想いから、今回の産地での座談会をはじめとする新たな交流がここ石川県で初めて実現することとなりました。

底びき網解禁日の水揚げ及び選別、セリ見学

訪れたのは9月1日の底びき網の解禁日。この日は過去最も暑い底びき網漁の解禁となりました。
 前の日の21時半(えび場)、23時半(へた場(魚狙い))に出港、沖の天候はあまり良くなく昼過ぎには全船入港となりました。7〜8月は資源保護のため休漁しており、久々の水揚げですが、気温と水温が高く水揚げされた甘えびの色はどうしても、鮮やかな赤色にはならない、とのことで、こればかりはしょうがない、と漁業者は残念そうでした。
こうした近年の気候の変化にも対応していく(解禁日をずらしたり、操業時間を見直す)必要がある、と漁業者の中でも話がでており、底びき網解禁を待ちわびる消費者と資源を持続的に利用するため、大事に良いものを水揚げしたいという漁業者との思いも翌日の座談会でも話が出ました。


 なお、水揚げ後のあとの選別(県内で白ガスエビを8パターンにまで細かく選別を行うのは橋立漁港だけ!)も見学し、自らがとった魚をいかに大事に市場に出荷するのか、その気持ちを存分に感じさせられました。

なお、、、漁業者しか食べることができない??脱皮後まもない皮の柔らかな甘エビを、「甘エビはとれたては味が余りしないが、これが一番美味いぞ。」と漁業者からいただき、その場で試食。止まりませんでした笑 こうした市場では流通されない貴重な一品にありつけるのも、漁港ならでは、です。

18時半にセリが開始。その前に市場に並べられた底びき網や定置網、刺し網の魚を見学。定置網では、サワラ、サゴシ、サバなどが、刺し網ではノドグロ、甘鯛。底びき網では、甘エビ、カレイ類、ガスエビ、ハタハタ、ノドグロ、水イカ(ケンサキイカの子)、毛蟹などなどで本当に多種多様で資源の豊かさを感じる市場でした。(中には2kg超えのノドグロまで!!)

最後に、、、とれたての魚を存分に味わうべく、漁業者行きつけの「味屋だんご」さんにて、漁業者と一緒に行き交流を深めました。特に船で活かして、水揚げ時に締めたアカガレイの刺身はここでしか食べられず、絶品でした。また、味屋だんご名物の「サワラの藁焼き」、「ガスエビの沖漬け」も堪能しました。店主の堀さんの料理の素晴らしはもちろん、一番の味付けはこれらを水揚げした漁業者とともに様々な話とともに味わえたのが最高のひとときでした。

これは、香箱ガニのトップブランド「輝姫」を水揚げした漁業者しかもらえないキーホルダー。デビュー初年度の1匹30万円の値がついた超貴重なものです。

<<味屋だんご>> お魚の食べられるお店にも掲載中!
所在地: 
〒922-0412 石川県加賀市片山津温泉ヰ16−1
電話番号: 0761-74-3905
営業時間: 17時〜23時 木曜定休日
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後編に続く(初の座談会開催、当日の様子)

取材:島田 拓土(しまだ ひろと)
石川県農林水産部水産課

1988年生まれ 石川県金沢市出身。2011年長崎大学水産学部卒後石川県庁入庁。経営指導グループで藻場保全、団体指導、担い手担当、2014年に水産庁漁業調整課指定2班に出向し、沖合底びき網の担当、2016年に石川県に戻り漁業調整、資源管理を5年間担当し、2021年より現在の企画流通グループ流通、県産魚PR、水産業の成長産業化などを担当。魚は釣るより食べる&作る専門で大学の時のバイト経験を活かして実は調理師免許をもっている。

 

2025.09.09